第49章

最初のひと目で警戒がほどけてしまって以来、執事はこのアラクラネの魔蛛に対して、もう二度と悪い感情を抱けなくなっていた。だから、あとになって人型の胴の下に蜘蛛の胴体が繋がっているのを見ても、勝手に脳内で補正がかかる。純白の蜘蛛体はふくふくと丸く、むしろ愛嬌がある――本に書かれていたような恐ろしさなど、どこにもない。

しかもこのアラクラネは孵化して最初に目にしたのが執事だったせいで、彼に母親めいた依存を向けてきた。結果、従魔契約は失敗どころか、初期の好感度が天井を突き抜けた勢いである。

その後、アネが初めて餌を食べるときの凶暴さを目の当たりにしても、執事の補正は剥がれなかった。

いまの執事...

ログインして続きを読む